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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

絵画の見方

松田奈那子の企画展が開催した。出会いは、一通のメールから。作品の見せ方、メールの文章の書き方が気になり、作品を見てみたいと思わせてくれるその一人が、松田奈那子だった。すぐに返信して、お会いしたい旨を伝えた。会って、すぐに何か同じルーツを感じた。作品から、どんよりと北の日本海の冬空を思い浮かべたからである。だからといって、けっして暗いわけではなく、大都会の派手さがあるわけでもない。虚栄心もなく、ごく自然体の人柄に好感が持てた。会って、1時間もしないうちに、僕の方から当ギャラリーで「企画展をやってみませんか?」と申し出た。すぐに二つ返事をいただき、実現に至った。


夜になり、一人で作品と対峙していると、この作品から東欧の作家の雰囲気が感じられた。本人に実際のところ誰に影響を受けているのか聞いてみた。長新太、荒井良二、レオ=レオニ、ブルーノ・ムナーリ、ディック・ブルーナ、ベアトリーチェ・アルマーニャが好きだそうだ。特にベアトリーチェ・アルマーニャの「カール・イヴー」は、内容よりもとにかく絵に惹かれるという。でも、一番影響を受けたのが意外にも長谷川等伯の松林図屏風だそうだ。特別、東欧の影響ということではなかったけれど、いろいろな作家の影響を受けながら、うまく自分のルーツを作品に消化させていると思う。

絵画の見方を良く聞かれるけれど、見方が分からない方は「どう見るか?」ではなく、「何を感じるか?」を意識した方が良いと思う。専門的に勉強するのであれば、古典絵画の図像学から学び、現代アートの思想やインスタレーションということまで膨大な量の勉強をしなければならない。それよりも直感的に好きか嫌いか、自分の部屋に飾って心地良いかどうかをイメージするのが良いのではないだろうか?部屋に飾った絵画から、「元気をもらいたい」「落ち着きたい」「異次元へ空間を演出したい」など。僕が自分の部屋に飾るのであれば、松田奈那子の作品から決して絵だけが主張するわけではなく、落ち着いた色味で、「ちょっと非日常へ連れて行ってくれる」そんな不思議な世界を感じる空間を作りたい。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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