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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

京都橘高校吹奏楽部で涙いっぱい

コロナ禍、世界中が鬱々とした時代の中、引き篭もってYouTubeを見ていると京都橘高校吹奏楽部111國慶全紀錄というサムネールが目に飛び込んだ。「どうせ、たかが高校生の吹奏楽部なんか、たかが知れている」と思いながらも自粛で暇を持て余していたものだから、興味本位で動画を見てみた。


※画像は【公式】京都橘高校吹奏楽部YouTubeから引用


これは、台湾111国慶節祝賀式典に蔡英文総統の前で祝うため、台湾の軍隊や学生達のマーチングバンドやダンスを披露するという4時間にわたるイベント


その式典の最後の大トリで約15分位、京都橘高校吹奏楽部が登場する。

台湾人のMCが台湾語で何やら紹介した後に日本語で「日本京都橘高校、元気いっぱい、笑顔いっぱい、夢いっぱいーーーーー!」と叫ぶ。

そして、このマーチングバンドは、オレンジ色の爽やかなユニフォームに身を包み、ピー~ー!というホイッスルを合図にDown By the Riversideという曲と共に行進と演奏が始まる。


何に涙したかというと、DM(ドラムメジャー)の演技が素晴らしいこと。部員約90名の15歳から17歳くらいのまだあどけない子供達が、とんでもない高度な演奏をしていること。そして、このバンドのスローガン「元気いっぱい、笑顔いっぱい、夢いっぱい」をこの子達が全員、全身から湧き出て体現していること。蔡英文総統のロイヤルボックスの前へ来ると敬礼をするのだが、こんな美しい敬礼を見たことがない。さらに「愛の讃歌」でのクライマックスは、バレエダンサーのようなバトン捌きの舞いであった。


残念ながら、台湾のテレビ局はカメラの複数台のスイッチングとアングルに凝りすぎてしまって、最大の見所を撮り逃してしまったように思える。とはいえ、国家の威信がかかっているイベントなので、それ以外は最高のクオリティの映像であるが、素人がリハーサル風景をスマホで撮影したものの方が、全体のフォーメンションと演技が見れる。1週間前から毎日のようにリハーサルをやっていたのだから、撮影プランをもう少し綿密にしてほしかったところが残念である。


※左 緊張感の中、ハレの舞台の大役を笑顔でこなす。 ※右 蔡英文総統のロイヤルボックスの前で敬礼をする。


台湾のテレビクルーが、蔡英文総統へ最高の敬礼の演舞を捉えていなかったのでイラストにしてみました。




※「愛の讃歌」のクライマックスは、鳥肌ものである。


「愛の讃歌」のドラムメジャーの演舞は、バレリーナのようだった。



※ 右手に見える赤いロイヤルボックスボックスの前でフォーメンションを披露。


マーチングバンドは、もともと軍隊の進軍を鼓舞するために演奏するのが目的で、一糸乱れず行進するものだと思っていたのが、その概念を全く覆されたこと。時にはアクティブに時にはユーモラスに時にはシリアスに、観ていて心の底からワクワクして楽しく、表現の幅がものすごく広いこと。見ていると自然にこちらも口角が上がり笑顔になっていると同時にその裏に隠された日々の並々ならぬ努力とチャレンジを想像してしまうからこそ、自然と涙が溢れてくるのである。さらに、この119期の3年生は、2020年に入学してコロナになり、日本中のイベントが中止になり、練習時間も活動も2年間しかできなかったことである。


今回の見どころは、全てが完璧で全員に拍手喝采を送りたいとことであるが、強いて今回の見所を上げるならば、DM(ドラムメジャー)3年生の木花百花さんのバトン演技が歴代でNo.1だろう。持って生まれた、品格と恵まれたプロポーションと手足の指先までが、90名位いるバンドメンバーの中でもひときわ光彩を放つ。


京都橘吹奏楽部のことをもっと知りたくなり調べてみると、なんと、2012年、2018年2回アメリカのローズパレードに出場し、2回とも優勝している。一度、出場すると5年間は出場できないらしい。名実ともに世界No.1のマーチングバンドで、ORANGE DEVILS(オレンジの悪魔)の異名があり、YouTubeのコメント欄は海外からのメーセージが多く、アメリカ、イギリス、イタリア、フランス、ドイツ、アイルランド、メキシコ、ロシア、南米、アジアなど、(その他書ききれない)多国に渡りコメントしている。


あるアメリカ人は、「アメリカで生まれた育った音楽やマーチンバンドを日本人は独自のスタイルに変えてしまった。もう、日本人に任せておけば間違いない」「小柄な少女達が、飛んだり跳ねたりしながら管楽器を演奏するなんて、普通なら歯が折れる。まさにオレンジ色の悪魔に違いない」「これは、CGかアニメを見せられいるのだろう。人間がこんな高度な演奏ができるはずがない」75歳のイギリス人男性は、「マーチングバンドのコーチを長年やっているが、こんなマーチングバンドは、見たことない。もう少し若ければ日本語を勉強して、京都へ行きたい。いや、日本語は無理だとしても京都へ絶対に行く」「私は70歳だが、あなたに続きます」「私の父はプロのトローボーン奏者でした。彼は、美しい笑顔を持つこれらの愛らしい才能のある若者達をきっと愛したでしょう。イギリスから」とか、ドイツ人のオーケストラの指揮者は、「世界でNo.1」とか、ここでは紹介しきれないくらい海外ファンが大勢いることを知った。日本でも熱狂的なファンがいるようだが、メディアは一切取りげないのが不思議だ。



※ネット上では、個人情報保護のため個人の名前を出すことを警告している人が多いけど、京都橘吹奏楽部の場合は、地元や台湾のメディアで学校公認のもと実名で公表されています。


#京都橘吹奏楽部

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美しく、輝く、輪を求めて。

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