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キリコに触発されて

東京都美術館で開催されている「デ・キリコ展」を観て、触発され創作意欲が湧いてきた。

部屋に引き篭もって、絵を描いていると血流が悪くなるので、カメラを持って運動を兼ねて良いロケーションを探し歩くことした。



7月上旬の梅雨晴れの夕方、高層ビル群の間を歩き回ったり、新宿JR南口方面を代々木方面へ歩いたり、キリコの「イタリア広場」のような場所はないものかと思いを馳せ巡らせる。

このキリコの形而上絵画といわれる「イタリア広場」は、建築物のパースペクティブと午後の太陽が沈む前の長く伸びた影が特徴である。



光と影のコントラストとパースペクティブは、身近な風景も微妙な不均衡と新たな知覚を印象付ける。一日の喧騒を終え、人々は慌ただしく蠢き合っている中で、今日も終わろうとし始めている時、光と影が何か侘しさと疎外感を演出してくれるのである。



キリコ自身、「フィレンツェのサンタ•クローチェ広場の真ん中にあるベンチに座って、長く苦しい腸の病気からなんとか回復して、弱々しい状態にあって自分を取り巻く自然の全て、建造物や噴水の大理石までもが、まるで病み上がりのように目に映った」とある。こうして生まれた作品を「謎」と呼びたいという。



つまり、なぜ、「イタリアの広場」に着想を得たのかは、本人自身が謎なのである。


キリコも謎なものが、僕自身なぜ「イタリアの広場」に魅了されたのかは、謎なのである。


一つ言えることは、光と影が演出するパースペクティブと脈絡のない構図は、どこか夢の世界にも似た、非現実的な世界観を生み出すことになるだろう。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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