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O-VILS.に会いたい

京都橘吹奏楽部を知ってから、ずっと疑問に思っていたことがあるのだが、これだけ青春を音楽に打ち込んだのに高校卒業後、世界No.1と世界中から称されたこのマーチングバンドの経験を生かして次のステージへステップアップすることはないのだろうかと思っていた。


※この日のライブは、三脚、スタンドを使用しなければ撮影可(撮影:篠原英智)


そう思っていたところへ、理想のエンターテイメントバンドO-VILS.が2021年に結成されていたことを知り、YouTubeや他のSNSで毎日のように観ているうちに大ファンになってしまった。京都が活動拠点なので、東京でライブを観ることはできないだろうと思っていたが、5月6日連休最後の日に池袋の野外ステージ、グローバルリングへ来るということを知り、15時と17時の公演を1時間前から最前列で待ち構えていた。



いよいよ、MCの紹介でO-VILS.が登場。「お邪魔じゃカーニバル」のイントロと同時にステージ脇から、メンバーが次々と飛び出して来る。コロナ禍の時代を経て、久しぶりのライブはやはり迫力がある。東京ドーム、武道館などで数々の外タレバンドを観てきたが、こんな小さなステージでスペースを目一杯に使って、踊って、跳ねて、くるっと回りながら管楽器、ショルダーキーボードで演奏する。何がすごいかって、こんなに派手な動きをしたら管楽器の場合、歯が折れたり、唇が切れるのではないかと思うくらい心配してしまう。カメラを構えていたけど、あまりにも動きが激しいので撮影を諦め、純粋に音楽を楽しむことにした。



プロモーションのための東京遠征なので、Vol.公演のフルメンバーの半分位のメンバーだったが、これでも十分というくらい良かった。特にメンバーの中の一番末っ子2姉妹といわれるトランペットのあすか、トロンボーンのKaoriの音圧が最前列にいるとPAのスピーカーとは別に空気を伝わって聴き手の身体全体にバイブレーションを起こす。Range of 0という曲のふたりのソロの掛け合いはカッコ良く、小さい体でほっぺたを目一杯膨らませて体をのけぞらせて演奏する姿が何とも初々しい。


※小動物のような可愛らしいKaori           ※キャラクターデザインや絵の才能がある、あすか



ショルダーキーボードの天才ちっぴは、2018年ローズパレードで激しいステップで木琴を高速連打して「オーマイガー!」の連発で、多くのアメリカ人の心に深く刻まれたことであろう。そのチッピはノリノリの演奏で、ワイヤレスマイクのトランスミッターを吹き飛ばしてしまうアクシデントもあったが、そんなものは全然気にならない。ゆいなさんの片腕でもあり、今後、作曲、編曲などの才能も頭角を表すと期待している。


重量が10kg近くあるスーザフォンのゆるモわ!は、他のメンバーと一緒に同じステップで飛び回ているのに、重低音が聴き手の腹の底を振動させる。


※アメリカ人を驚かせた、ちっぴ            ※可愛らしさと不思議な世界観を持っている、ゆるモわ!



今回のセットリストは、「どこを切ってもO-VILS.」ということを目指していたようで、メンバー紹介も曲と曲を途切れさせることなく、リズムと演奏に乗ってカッコ良くスムーズに進行した。


メンバー中、美少女No1のカラーガードAyaka、同じくカラーガードの姐御肌で美魔女のMieがダンスとフラッグでステージを彩り、彼女達がいないとO-VILS.というダンスエンターテイメントは成り立たない。見どころは、Range of 0の曲の途中で旗をパッチンと倒すところ。もう1人のカラーガードのほのかは、今回は珍しく「自称音痴なアルトホルン」で参加してメンバー紹介では笑いを誘う。この辺は、関西のバンドだけあって笑いのセンスは抜群だ。


※みんな大好きな美少女Ayaka ※後輩達が甘えたくなるMie


※何事も200%発揮する、ほのか            ※総監督で高速連打のドラマー、ゆいな


アルトサックス&ソプラノサックスのふうりは、楽器の特性上、主旋律のメロディを奏でて、バンド全体をリードしているように思える。彼女は、ダンスも演奏もいつも完璧で「大型トラック」などと異名を持つくらい威風堂々としている。(彼女は、いつも冗談を飛ばしてメンバーを笑わせているけど、実は一番繊細だと思っている)



※天才エンターテイナー、ふうり            ※しっかり者でメンバーをリードする、すずか


YDSのすずかは、116期のドラムメジャー、ローズパレードメンバーでは最年少だったが、今では総監督ゆいなさんの片腕といっても良いのではないだろうか?本来は、フルート担当だったが、フルメンバー以外のプロモーションでは、少人数で演奏するしかなく、そのパートを補うために50種類位の音を出せるYDSという電子サックスで出演することが多くなった。彼女は、

O-VILS.は自分が一番やりたかった理想のバンドというくらいで、50年後もやり続けたいというくらいO-VILS.愛が誰よりも強いように感じる。小学2年生の頃から、マーチングバンドに参加していたらしく、O-VILS.結成時には、一時はバンドを離れアメリカに留学したくらい音楽的な素養があるように思われる。SNSでは、メンバー全員でアイデアを出し合っていると思うが、特にショート動画のアイデアを積極的に実験的にチャレンジしているようだ。演奏だけではなく、エンターテイメント性も持ち合わせている。


しっかり者の学級委員長的な存在と思いきや、高校時代はドラムメジャーバトンを駅のホームに忘れたり、最近ではチッピ先輩に「映画を観に行きましょう」自ら誘っておきながら、連絡したきり返事を返さなかったり、映画館ではチッピ先輩にポップコーンを奢ってもらって、それを床にぶちまけて店員さんにサービスしてもらったり、一本ネジが外れている天才タイプと僕は見た。こういう天才はほんと大好きです。そして、社会人になって参加できなくなったメンバーに対して、「いつでも、戻って来れるような環境にしておきたい。なぜなら、自分が一年間の留学で帰ってきた時、みんなが温かく迎え入れてくれたから」などという優しさと温かさがたまらない。


このバンドはの結成時からの軌跡は、YouTubeで観ることができるが、高校時代の恩師の横山先生が演出を担当している。横山先生が大事にしていることは、演奏の質は当然のこととして、それに加え楽しさやエンターテイメント性を重要視しているように感じる。


演奏が完璧なのは当たり前、さらにこのバンドを観て聴いた人が、楽しく喜びを感じ、自然と体が動いてしまうようなステージを目指していて、先生の指導以上のことをメンバー全員がそれをしっかりと理解して表現しているところが素晴らしい。さらにメンバーひとりひとりが限りない情熱と好奇心、チャレンジ精神がこのバンドを常に進化させ、その精神こそが世界中のファンを虜にするのである。


完璧さを求める人は、NHKの交響楽団でも観ていればいい。そんな世界トップクラスの伝統ある交響楽団なんてものの枠を飛び越えて、世界中の人々が忘れかけていた未知の世界へ挑む「青春の輝き」を思い出せてくれるのだ。


もしも僕が大富豪であったなら、潤沢な資金を無償で提供して彼女達がO-VILS.だけで生計が成り立ち、金銭的な心配などさせないで音楽と今までにないエンターティメントにチャレンジできる環境を提供してあげたい。

楽屋裏ではとにかく台本があるのではないかと思うくらい楽しい仲間達だ。こんなに苦しい道のりを共にしてきた仲間達が、全くそんな苦しみを微塵も感じさせず、同じ関西弁でも柔らかくはんなりとした京都弁が耳に心地良く、ユーモアに溢れ、笑いが絶えなく、美しく、可愛く、みんな仲良しである魅力的な人間性が心から愛してやまない。この楽屋裏がメインであると勘違いするくらい面白くて何度も観てしまう。


このステージを観て、さっそく8月23日東京公演のチケットを取り、次のフルメンバー

のステージを楽しみ待つことにしよう。









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美しく、輝く、輪を求めて。

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