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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

鏡面世界

毎日、鬱陶しい雨の日が続くけれど、こんな日はカメラを持って外出してみることにした。ずっと、机に向かって考え事をしていると、息苦しくなってくる。その仕事内容が、自律神経についてだなんて皮肉なものだ。


自律神経には、交感神経と副交感神経がある。交感神経は、太陽のように元気よく活発に活動するには良いが、ずっとそれが続くとストレスになる。副交感神経には、夜の月明かりのようにほんのりとリラックスした気分を与えると日中の疲れを解消してくれる。旅に出て、自然に触れることも副交感神経にいいらしい。 日中、仕事はハイテンションなので、人間関係にイライラ、プレゼンが思い通りにいかないとイライラ、電話に出るとしつこいセールスにイライラ、せっかくの出かかったアイデアがすっ飛んでしまう。 それを解消するために雨の日は、鬱陶しいなどといわず、空気を楽しめば良いのである。と自分に言い聞かせる。梅雨空の一瞬の晴れ間は、空気が澄んでいて緑がきれいだ。 ふと、池の周りを歩きながら、半円を描いていた木立が池に映って球体になっていることに気づく。まるで、合わせ鏡のように上下を反転して映り込んでいる。人間関係は、合わせ鏡のようなものだということを思い出した。つい、理不尽なことに感情的に反論してしまったり、いちいち反応してはいけないのである。 人格者との人間関係を築くことを望むのであれば、自分自身が人格者にならなければならない。どんな理不尽なことにも感情的に反応せず、理路整然と受け流す心構えが必要である。そうだ、眉間に皺なんか寄せていないで笑顔でいよう。こんなきれいな池の周りを歩いていると、腰のまがったおばあさんと出会った。「こんにちは、緑がきれいですね」と声をかけてみた。おばあさんは、「こんにちは、ほんと、きれいだわね!」と返してくれた。鏡に映っている自分を見ているようだった。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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