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心安まる、一枚の絵。

2011年5月16日

子供の頃、自宅の暖炉の上に一枚の絵が飾られていた。

時を経て、父と肩を並べて会話ができる年齢になった。

ずっと、父に聞いてみたいことがあった。

「あの絵は?」と私が聞くと、父は応えた。

「あれは、お前が生まれた年になけなしの安月給で買ったんだ」

どうってことのない油絵の風景画だった。

私に損得で人付き合いをする人間になってほしくなくて、

あの絵のように澄んだ心を持ち続けてほしいという願いを込め、

名も無い田舎の画家から購入したらしい。

初めてその話を聞いて、その絵が急に光り輝いて見えてきた。

何か大切なことを忘れかけていたような気がした。

それから、私は大人になって一枚のモノクロームの写真を購入した。

油絵というよりは、モノクロームの世界が自宅の書斎に合っていた。

何かの記念日ごとに写真、絵画、オブジェを購入し、

コレクションが増えていった。

そんなアートの楽しみ方を父が教えてくれた。

ギャラリーヴィグロワ 篠原英智


20110515_01.jpg




昨夜は、朝まで仕事をしたためか、夕方からぐっすりとソファで寝てしまった。北国の新緑と雪山の風景に天女が降りてくる夢で目が覚めた。連休には年老いた両親を札幌に残し、また東京での生活がスタートした。やらなければという焦りが募る。


帰省して父に聞いておきたいことがあった。ギャラリーヴィグロワの話を昨年からずっと電話で話をしていて、いつも話しに出てくるあの絵はどれなのか?家にはたくさんの絵が飾ってあるからどれのことを言っているのだろうと思っていた。


このヴィグロワという新しい事業がうまくいくのかどうか?賛否両論だった。この不況の中、アートなんて売れる訳ないという意見が大半だった。


父は違った。僕がまだ1才だった昭和35年、油絵がほしくてミルク代を捻出するのが精一杯だった時代に画商から絵を買ったというのだ。年老いた父は、一気に階段を駆け上がり、もう誰もいなくなった子供部屋に飾ってあるこの絵を指差した。


子供の時からいつも家にあったあの絵だった。なんてこともなく感動もなかった。父は、本当はもう一つ別な絵がほしかったと言う。そちらは、高くて買えなかったらしくずっと悔やんでいたそうだ。我家の歴史にこんなに長い時間居座るぐらいなら、そちらを買っておけば良かったと思うようになったらしい。仕事から帰ってきて絵に囲まれていると心が落ち着くらしい。「時代や経済に関係なく、絵というのはそういう力がある」と父は言った。二人は絵の前でしばらく黙って腕を組み眺めていた。


沈黙が続いた後、子供の頃から僕が無鉄砲にも何かに夢中になる度に反対して説教したあの父が「頑張れ」と一言だけ言った。いつもは、どんなに反対しても言う事を聞かなかった僕を止めても無駄だと思ったのだろうか?僕は、何か沈殿していたヤル気というマグマが噴火口に到達しそうになった。


この気持ちを忘れずに、「心安まる、一枚の絵」というギャラリーヴィグロワのステートメントを書いた。



投稿者 hidetoshi shinohara : 00:32 | コメント (8)

comment(8)

お疲れ様です。
心が落ち着く作品ですよね(*^^*)
日本画でしょうか?

ホボ、毎日絵を描いてますが、
完成って思った作品はほとんどないです。
多分、才能がないかもです(笑)
それで、9月の個展を終わらせたら、
絵描くのを中断しようと……

家族って本当に良いですね♪
お父様と腕を組んで、絵を~~
良いご家族に恵まれてらっしゃる気が致します。
素敵なお父様ですねー\(^_^)/

一度、ギャラリーに行きたいのですが~
中々……
ひとりで、一度も東京行ったことがないので、
サッ~と、出発が出来ないですね。

ギャラリーは、
必ずうまくいくと思っております。
ファイトですo(^o^)o

Takano

投稿者:鷹野エリ :2011年5月22日 03:55


>鷹野エリさま

ありがとうございます。
これは、日本画なのでしょうか?
ずっと油彩だと思っていました。

完成というのはないと思いますよ。
いつも不満に思うものですよね。
だからこそ、次があるのだと思います。
鷹野さんは、どんな絵を描くのでしょう?
一度拝見したいです。

父とは、この歳になってやっと語り合えるようになりました。
いつも僕には厳しく、何をやっても忠告ばかりでした。

ぜひ、一度ギャラリーへいらしてください。
東京駅から丸ノ内線に乗ってしまえば、
乗車時間15分位ですよ。

作家のご意見をお聞かせください。

投稿者:hide★ :2011年5月22日 12:14


お家に届いたその日から
「心休まる、一枚の絵」は、家族の一員になったのですね。
同じだけの時間を過ごし、苦楽を共にして、
そして、ご両親が息子さんに愛情を込めた想いの丈を
絵も同じように愛情をもって見守り続けてきたのでしょうね。
父と子を結ぶ 世界に一つだけの貴重な絵ですね。
絵と家族の絆..。
父の日を前に素晴らしいお話を聞かせていただきました。

投稿者:雪 :2011年5月23日 13:03


>雪さま

僕が一歳の時から、この絵があったということは、
ずっと僕の人生を見守っていたことになります。
18歳のときに実家を飛び出し、上京してきましたが、
毎日、息子のことを思い出しては、
寂しい思いをさせたのではないかと思います。
そんな日々もこの絵は家庭を見守り続けたのかと思うと
心が痛みます。
反抗期が長かったもので、親子でこんな話ができるように
なったのは最近のことです。

投稿者:hide★ :2011年5月23日 14:03


To. V.G.W.様

今日も、お疲れ様です。
写真~見ると、筆のタッチが少ないように見えたので、
日本画かなぁと……。(実際に見ないママ~すいません)

私は、子供の頃から、絵が大好きで、
中学校からは、専門的に習ってたので、
もう30年近くなりました。しかし、
最近になって、絵が難しいと思うようになりまして、
自分の作品に不満ダラケです。
限界かもですo(^o^)o
今は、油絵で、半抽象画が中心です。
たまには日本画、水墨画も描きます。

お父様とは、これからの時間が大事だと思うし、
お互いにより良いアドバイザーになれると思っております。
これからも、色んな思い出を沢山↑↑作ってくださいませ。

是非、V .G.W.ギャラリーに行かせて頂きますね♪(*^^*)

Takano

PS.ギャラリーの成功を祈っております★★

投稿者:鷹野エリ :2011年5月24日 02:06


>鷹野エリさま

あまり、日本画というのを見た事がないので
もしかしたら、日本画かもしれません。
不確かな知識ですみません!

僕もずっと子供の頃から絵が好きでしたので、
すごくわかります。
あるレベルに達するとそこから先が難しいのですよね。

投稿者:hide★ :2011年5月24日 17:27



今日も、お疲れ様です。
とんでもないです。こちらこそ、すいません。
まァ~実際に見た方が…ね。

ブログに掲載してる作品等を見ると、
素晴らしいでした。
誰も考えたことがない事を「新idea」を生み出せるのは、普通はできないと思います。
一応、デザイン教師の免許を持っておりますが、
全くです。(恥ずかしいですが~)

この頃、個展制作がうまく行けなくて、
落ち込んでるし、不安感も抱えてます(泣)
予定としては、
6月中、お伺いしようと考えております。
事前にご連絡させて頂きますね。

もしかして~(頻繁なコメントで)
お忙しいところ、お邪魔にしてないんでしょか?

しあかし、早速のコメント、本当に有難うございました。

           Takano

投稿者:匿名 :2011年5月24日 22:06


>鷹野さま

モノづくりの苦労、お察しできます。
なんかしっくりこないときは、ダメなんですよね。
まったく、一発で瞬時に決まればいいけど、
そうはいかない。
何かが噛み合ないときは、負のスパイラルへと陥りますね。

コメントは、失礼ながら息抜きですので、
お気になさらずに。

投稿者:hide★ :2011年5月25日 01:10